New translated version of Martin Beck series written by Maj Sjöwall and Per Wahlöö will be completed by Yumiko Yanagisawa, one by one, in Japan.
While, the first/former translation by Hiroshi Takami has been loved by many, including me.
携帯電話もインターネットも無い時代の警察小説
なのに、既に現代社会の病んだ部分を言い当てて
いる部分が多く、登場人物それぞれの人間味が
きちんと彫り込まれている、 というのが、
スウェーデン発の本作の人気の理由でしょう。
昨秋刊行された柳沢由美子訳(『ロセアンナ』)を読んだ後、
高見浩訳(『ロゼアンナ』)を図書館(閉架)から借り出し、
読み比べました。
高見訳は今でも愛着を持っている方が大勢おられるようです。
私もその邦文の滑らかさが自分の読書力の足りなさを補い、
下支えしてくれているのでは、と思うところがあります。
とどのつまり、`高見ファン’に近いとも言えるかもしれません。
今回、高見訳(1975年刊行分)の訳者あとがきから、
このシリーズについては、(英訳版からの訳出のみならず、
スウェーデン語のチェックも行い)版を重ねる度に
訳や言い回しに手を入れておられたことを知りました。
と、いうことは、高見訳については、それぞれの作品について、
一番最後の版を探して読むのがベストかもしれません。
スウェーデン語の発音では濁らないから、という理由から、
柳沢訳では『ロセアンナ』というタイトルになっていて、
英訳版から訳した高見氏との違いがここからもはっきりしますかね。
この名の持ち主の出身国からして、大元の名前では濁るのでは・・・。
北欧ブームが来る前から「スウェーデン語といえばこの人」と
大活躍されてきた柳沢女史が、これから本シリーズ完訳を予定
されている、ということは、大変楽しみです。
原作は一年に一冊のペースで発表されていたようですが、
訳本のほうはもうちょっと加速して出してもらいたいなぁ。
待ちきれないので。
なお、これからこのシリーズを読んでみようか、という方には、
『ロセアンナ』から始められることをお勧めしたいと思います。
柳沢訳では『笑う警官』が先に刊行されていますが、
『ロセアンナ』がもともと本シリーズの一冊目で、
これからの柳沢訳は、初版刊行順に沿って進む予定だからです。
※ 『ロゼアンナ』
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー・著
高見浩・訳 1975年3月初版 角川文庫
0197-252004-0946(0)
※ 『ロセアンナ』
柳沢由美子・訳 2014年9月初版 角川文庫
ISBN978-4-01-101383-0