ロシアの至宝、240年の歴史を誇るボリショイ
劇場。 芸術監督のセルゲイ・フィーリンが
顔に硫酸をかけられた、というニュースに
驚かされてから2年と10ヶ月が経過しました。
この事件にまつわるドキュメンタリー映画です。
そのまま劇場にカメラを入れて、関係者の証言を多数紹介しながら
「ダンサーというものの厳しさは、幼い頃からの心身の鍛錬や節制
だけではなく、特殊な環境に常に身を置き、人間関係も難しいなか
それを乗り越え続けなければならないところにもある」という
事実を紹介しています。
稽古、リハーサル、本番の映像豊富。 本番では袖にもカメラを
入れ、ダンサーたちの「仕事の」様子をつぶさに見せてくれます。
役員会議、団員のミーティング、はたまた裁判など、紛糾する場にも
遠慮なくカメラが入っていて、ロシアも随分変わってきたのかな、とも
思ったのでした。特にボリショイは(映画でも紹介されているとおり)
国家権力と密接に係り続けてきたので、なおさらそう思いました。
忘れてはならないのは、日本人ダンサーたちが国内では仕事が無いため
少なからず海外へ出て、このような環境に身を置きながら闘い続けて
いることと、容姿や身体条件、音楽性、運気と、あらゆる条件に恵まれ、
スターとして一世を風靡した人でも、必ずしも優れた教師、優れた振付師、
優れた監督・総裁、優れた実業家になれるわけではない、それらは別物で
ある、また、人気が絶大であったことと、普通の生活における人望がある
ことともまったく別物である、ということです。
バレリーナの卵たちというよりは、保護者が、ファンたちというよりは、
関係者が、多数チェックしている映画でもあるように思います。
バレエダンサーを撮った映画、増えてきたように思う、というか、
カメラを携えて近づきやすくなった(許可がおりやすくなった)し、
撮れば(時間をかけて作り上げられた身体と技術は)絵になりやすい、
ということもあるかと。
これから冬にかけては『愛と悲しみのボレロ』のデジタルリマスター版、
名門マリインスキー・バレエ団プリンシパルを追った『ロパートキナ』と
上映が続いてゆきます。 『ボレロ』のほうは、バレエとは関係無い人にも
この機会にしっかり鑑賞していただきたい作品!
※ 映画 『ボリショイバビロン』(2015年、イギリス)
公式サイトはこちら↓↓↓から
http://bolshoi-babylon.jp/
コメント