著者没後40年にしてついに出た邦訳版。
この美しい挿画、装丁は、最近出た書籍の
中でも一番好きかもしれない、と
本屋さんで目が釘付けになったのが出会い。
そうしたら・・・肝心の文章(内容)も秀逸。
私は、フランドル地方を訪ねた経験もないし、
天象や植物に特に明るいわけでもありませんが、
身の回りの自然をきめ細やかに感じ取り、観察し、
それらが水や風が流れるような無理のない筆致で
月毎にまとめられていること、さりげない
地元民たちのエピソードの織り込み方にもジンときて
「一気読みはもったいないよ」とチビチビ読み進みました。
気候風土が日本とは異なるのはわかってはいても、
「地衣類は植物界の貧民。水に飢え、貪欲」などと書かれて
いると、ああ、ここまで違うのか、と思い知らされます。
原文を(その言語に明るい人たちが)読み上げたとしたら
その音さえも流麗なのではないでしょうか。
私にとっては、クリスマスに、というよりも、今年を
締めくくるのにふさわしい一冊になったと思います。
ちなみに、挿画の大野八生さんは造園家、なのだそうです。
どのような方なのか、本の末尾にもう少しご紹介があっても
良かったのに、と思いつつ、ネットで検索してみました。
なんと!女性でした!「やよい」さん、だったのね。
http://www.tis-home.com/yayoi-ohno
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/season/2014_spring/01.html
※ 『フランドルの四季暦』
マリ・ゲヴェルス・著 宮林寛・訳
2015年11月初版 河出書房新社 2,400円+税
ISBN978-4-309-20693-6
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