主に食べ物がらみで有名になった映画
『バベットの晩餐会』。でも・・・
ディーネセンの作品は、芸術表現の
ために生を受けた人たちの心の叫びが
見え隠れしながら読み手を惹きつけます。
主人公のバベットが物語の最後に口にする言葉、
これは深いですね・・・ そして重いです。
「芸術家が慈善のもので喝采を受けるのは、
恐ろしいことなのです。あのかたはおっしゃいました。
芸術家の心には、自分に最善をつくさせてほしい、
その機会を与えてほしいという、世界じゅうに向けて
出される長い悲願の叫びがあるのだと」
映画にご興味がある方には、今春公開のデジタルリマスター版を、
さらに、原作を未読の方には、ぜひ文字でも味わっていただきたい佳品です。
※ 『バベットの晩餐会』
イサク・ディーネセン・著 増田啓介・訳
1992年2月初版 ちくま文庫
ISBN4-480-02601-0 680円+税
コメント