たたずまいは庶民的だったとしても
本格的な蕎麦をこだわって売っている店となると、
そこそこのお値段はお支払いすることになりますね・・・。
背筋を伸ばして一人でスススと出入りする粋な客にになりたい、
というのが長年の課題で、ときどき勇気を出して、初めての店にも
入ってみます。
理想のイメージとして頭の中にぼんやりと掲げているのは、亡くなった
杉浦日名子さん。 若いというのに、中身は‘粋な爺さん’でしたもんね。
私は彼女のようにお酒がいけるくちではありませんが
過ごし方、楽しみ方自体は見習いたいなあ、と思っています。
今は未だ序の口以下・・・。
(話はややそれますが、今の日本の社会では、「ごく限られた知り合いと
似たような年齢層、似たような境遇の人が作る狭いコミュニティーの中でだけ
お茶を濁して時間をつぶしておしまい」というのが増えている気がして。
相談役の爺さんや、集団の中の‘重し’になるはずの年輩の経験者たちへの
敬意、また、そちらの側から見る今の自分たちの置かれた状況の把握、と
いう視点が完全に欠落しているように思える例が、あちらにもこちらにも。)
先日、友人を訪ねるために電車で小一時間ほどの街へ出かけました。
約束の時刻までにお昼を、と、古い商店街の中の蕎麦屋さんへ。
若い大将夫婦が頑張っている店のようで、全国各地から
地粉を取り寄せて「本日は、●●市●●村の粉」と、定番とは別に
二種類の日替わりが準備されていました。
小さなカウンター越しに見える、きびきびした大将の仕事ぶりが気持ちよく
地粉の強い香りを惜しむように、でも豪快にズズッと。
ザルそばの1ポーションって、少なすぎます。
ハーゲンダッツの個包装と同じで、2皿でやっと一人前の量ですもん。
これ以上に濃いものはいただいたことがない、というくらいとろりとした
蕎麦湯の最後の一滴まで、静かに、でも、ドキドキしながら味わいました。
住まいの近くでも探し出したいものです。こんなお店を。
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