実は、1と2/3回観ました。
1回目、やむを得ず途中で会場を出ることになり
「これはいかん」と、また観に行きました。
おそらく、今年の私のベストワンになる作品。
撮影時87歳のシーモアさん自身があまりにも素敵。
ふわーっと微笑むと、皺の1本1本まで美しくて温かくて。
若い頃のツルツルした顔の写真や映像よりも、今がずっと素敵。
ピアノ教師というよりも「人生の師匠」として、誰の心にも
響く言葉を次々に発しておられるんですよね。
「あなたが探し求めているものは、ずっとあなた自身の中にある」と。
特定の宗教のトップに位置する人の中にも、スキャンダルが周辺に
見え隠れする人、政治に巻き込まれている人もおられる一方で、
こうして市井の人で通しながら、中身が高邁なお坊さん以上に
澄んでいる人も未だゼロではないぞ、という発見と希望。
最後に流れるシューマンの作品、そして、幕切れに彼がつぶやく
青空に関するコメントが、ズンと響きます。
私はね、涙が零れ落ちそうになりながらも、英語をできるだけ
耳で拾うぞ、と心の奥で歯をくいしばるような感覚があって、
珍しくそうなりませんでした。
(実際は、破れたバケツで水をすくい続ける作業に似て、
語学力の不足を露呈。 シーモアさんの発する言葉だけが
どんどん先に進んでしまったのでした。)
久しぶりに、DVDが欲しい、繰り返し観たい、と思った作品です。
が、その前に、たくさんの人たちに映画館でご覧いただきたいと思います。
監督したイーサン・ホークに感謝。
これまでこれっぽっちもご縁が無かった人なので、これから
やっと俳優としての演技を目にすることになるでしょう。
ちょうど、(彼が主演した)チェット・ベイカーの映画が、
日本では今季公開で、こちらの仕事にもシーモアさんの影響が
あるのかな、などと勝手に考えてしまったのでした。
※ 映画 『シーモアさんと、大人のための人生入門』
原題: "SEYMOUR: AN INTRODUCTION"
2015年 アメリカ
公式サイトはこちらから
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