ナルニア年代記が、その盛衰の順序に沿って
新訳の文庫版で刊行され始めました。
何度も読んだものなので、1冊目が出た9月には
触手が伸びませんでした。今頃スタート。
でも、結果的に、2冊目のほうが好きな話なので、
そこまでまとめて読み始められて良かったと思います。
現代の言葉に沿って自然なもので読んだら、50年前の訳書が
どんな風に頭と心に入ってくるのか、びくびくしながら読んだ
のですが、意外にすんなりと進み、楽しむことができました。
もう少し読み返して落ち着いたら、瀬田貞二訳と比べてみたいと
思います。 瀬田訳は、どこまでも端正で美しい日本語でしたので、
「古くさい」という理由で退けられることには淋しさをおぼえます。
さて。ガッカリさせられたのは、挿絵です。
どんなにこの描き手がナルニアのファンであったとしても、
思い入れが強かったとしても、ポーリン・ベインズの仕事に軍配、
ですかね。何故この新しい絵、この新しいテイストがこの作品に
必要なのかがわかりません。 小さい人たちに最初に読んでもらう
のなら、私は断然ベインズの挿絵付きのほうを推します。
版権が未だ切れていないので使えなかった、という理由で
新たな挿絵を用意した、とのことですが、それなら挿絵は無し、
という選択肢もあったのでは、と思います。
たくさんの小さい人たちが、あの長い物語、ハリー・ポッター
シリーズを読破し、おおいに楽しんだじゃありませんか!
表紙の絵とデザインは別の人の作で、こちらは抽象的で
ユーモアに満ちていて「これだけで充分」と思えました。
私の予想ですが、将来、今回の訳書とベインズの挿絵で
また刊行され直す、ということもあり得るのでは、と。
アンティークだって、100年経っていないものは
その範疇に入れてももらえないこともありますから、
まだまだ、ぶれながら進んでいる最中なのかな、と思います。
ついでに言えば、文庫本で、しかも「古典新訳文庫」という特別の
カテゴリーに入ってしまっているため、いくら振り仮名をつけても
小さい人たちは、本屋さんでも直接は手に取らないでしょうし、
(小さくなくなってしまった)私たちでさえ、マイナーな棚を
探し回らないと見つからないような始末。そこが残念です。
今回の刊行がきっかけになり、インターネットで関連の情報を
チェックしてみましたら、『銀のいす』が、(資金の目処がたち)
いよいよ映画として準備(撮影)中である、とのこと。
これはとてもうれしいニュースでした。
シリーズの中で、私が大好きな探索物語です。
※ 『魔術師のおい』
C.S.ルイス・著 土屋京子・訳
光文社古典新訳文庫 2016年9月初版
680円+税
ISBN-10: 433475340X
ISBN-13: 978-4334753405
※ 『ライオンと魔女と衣裳だんす』
2016年12月初版
660円+税
ISBN-10: 4334753469
ISBN-13: 978-4334753467
また読み返したくなりました❤
投稿情報: このみ | 2016/12/23 01:04
このみさん!
書き込みありがとうございます!
本当に。新たにこの新訳シリーズで読むことになる人より、
読み返すきっかけにする人のほうが多いのかもしれませんね。
二巻目は特にクリスマスにも縁のある話ですので、時期的にもピッタリです!
良いクリスマスをお過ごしください。
投稿情報: Calvina | 2016/12/23 08:31