2014年9月に、ロンドンでロングラン・ミュージカルの
『ミス・サイゴン』25周年記念ガラが華々しく催され、
その録画は日本では、今春から、あちこちの大型映画館で
公開されてきました。 夏休み期間中、これから上映する館も。
今夏、日本・東京で(やっと)日本語版(の本物の舞台作品)が
上演されることになった『ビリー・エリオット』のロンドン記念
ガラもそうだったのですが、ロングランを達成した作品の場合、
オリジナルキャストや、その作品のために尽力した人たちが、
ステージ上でたくさんの観客と若い出演者(現役)たちから、
熱烈な拍手と祝福をたんまり浴びるところが、演劇大国、
ミュージカル大国の懐の深さを見せつけているようにも思われて、
こういう特別の録画はできるだけ見逃さないようにしています。
さて。話を『ミス・サイゴン』に戻しましょ。 ‘現役’で作品を
堪能した後、特別のガラですから、次々にオリジナルキャストが
登場しました。 主役はもちろんでしたが、一番印象に残ったのは
(主要ながら)別の人でした。
「エンジニア」という名の狂言回し、ガラは悪いけれど憎めない
出ずっぱりの重要な役を、オリジナルキャストのおじいさん
(名優ジョナサン・プライス)が出てきて、一場面(一曲)を
歌い切りました。
‘現役’がついさっきエネルギッシュに歌い踊り、躍動感を見せつけた役を
彼は、美しく抑制された、それでいて衰えを感じさせない歌唱と、
ほんの少しのゼスチャー、そして、ユーモアのセンスで演じたのです。
そして、最後に短いスピーチの中で「私の初演時の衣裳(真っ赤な
ジャケット)は、美術館に保管されているので、この(今着ている)
衣裳は、この日のためにあつらえたものです。
これを(現役の)ジョン・ジョンに(捧げます)。
『ミス・サイゴン』が50周年を祝うその時に、これを、
ジョン・ジョン、君から(その時の)‘現役’に着せてやってね」と。
2人の演者に関して予備知識もまったく無い私でしたが・・・
もう、おじいさんが唄っている途中から、ボロボロと涙が出て
止まらなくなってしまいました。
「アメリカン・ドリームを手にしたら、スゴイぞ!」っていう
ギッラギラにエグイ内容の歌だったのに!
翌日まで目が腫れて、太陽が眩しくて、ヨロヨロしていました。
※ 『ミス・サイゴン25周年記念公演』DVD情報はこちらなどから。
もしも、もしも、大型スクリーン(映画館)で観る機会があれば
DVDより先にご覧になってください。
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