藤田嗣治、高田賢三、坂本龍一。
なんだか似ていますな。ビジュアルが。
賢三さんが78歳時点で人生を振り返った
本を一気に読みました。
ご本人の趣味や浪費癖や恋人・交友関係に加えて
ファッション界の大きな流れや勢力地図の変遷に
ついても、わかりやすく辿ることができました。
彼の創作に限らず、ライセンス契約のもとに作られ、売られて
いるものが、いかにデザイナー本人から遠い存在であるのかに
ついても、改めて(少しは)感じとることができたように思います。
そのKENZOのライセンスもののうち、
今でも好きで手元に置いているものもあるというのに。
フランスに渡って間もない頃に故郷の母にあてて書いた
幾通もの手紙の中で、自分のことは「俺」と。
今も賢三さんの内側にこういう感覚が残っているのかな、
そうだとしたらおもしろいなあ、とチラと感じました。
最愛の恋人が最後に彼に書き残したメッセージが沁みます。
デザイナー、クリエーターの本質の中に、「他を赦さずに
自分を通す」というものがある、あるいは求められるとしたら
この言葉はさらに重くせつなく、我々凡人たちの胸を打ちます。
「人生を分かち合える友との出会い
それが私の大切な財産です
皆で仲良く愛してください
そして、人を赦すことも必要です」
※ 「高田賢三自伝 夢の回想録」
(2016年12月に日本経済新聞朝刊に連載した記事に加筆)
日本経済新聞出版社 2017年12月初版 1,900円+税
ISBN978-4-532-17629-7
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