エイフマンは、かつてのバランシン、クランコや
ベジャールたちのように、教育機関を含む
自らの居城を築いて、「座付」の振付家としても
素晴らしい作品を生み出し続けている人です。
そのミューズとして認められた幸運なダンサーだけではなく、
群舞の一人一人も、誇り高くまとまって、彼とともに
生きているこの時を過ごす喜びを噛みしめていることでしょう。
(というか、稀な環境にある、ということは、もっとずっと後に
ズシリと迫ってくるのでしょうか。)
昔、独立して間もない彼のグループが、子どものための作品を
上演したのを観たような記憶があるのですが、調べても
詳細が出ません。どなたかご存知でしょうか。
勇気ある旗揚げ、と業界内では話題に上っていたその当時から
長い年月が流れ、今や「サンクトにエイフマンあり」とまで
言われるまでになっています。
また、日本でも、この30~40年の間に、大人のドラマを
じっくりバレエで鑑賞することに喜びを感じる見巧者が
確実に増加してきた、と言えると思います。
今夏、自分の精鋭たちを連れて来日し、『ロダン』と
『アンナカレーニナ』を上演していますが、私が拝見できたのは後者。
2005年の初演から、ずっと「作者本人のカンパニーで生で観たい」
という念願がついに叶いました。
日本人の体位が向上、などとよく言われますが、このカンパニーの
メンバーたちは、モデル体型をガンガン鍛えて筋肉の鎧で固めた、
というスーパー・ボディーの持ち主ぞろいで、遠い客席からも
はっきりと見やすいのでした。
心理描写の妙は、よく言われる点ですが、ロシアの香りが、振付や
選曲の中に相変わらず漂っているところや、華美な舞台装置に頼らず
人間によって機関車などまでもサラリと表現してしまうその創作力にも
ジンとさせられるものがありました。ダンサーの息、足踏みや摺り足の音、
空気の振動までも、作品の一部にしてしまう力、という意味です。
豪華な装置をごっそり運ばなければ成立しない作品ではないので
せっかく来日する機会があるのなら、一つでもより多くの都市へ
巡回してもらいたいなあ、という気もしました。
※写真は今夏の日本公演の公式サイトからお借りしました。
※本人とそのカンパニーの公式サイト(英文)はこちらから。
コメント