ウイルスも灼熱も避けようとすれば、自然と
部屋に籠って肩の凝らない本や好きな本を
パラパラと読む時間が長くなります。
読み返したり、好きな作家が影響を受けたと
いう本を探して読んでみたりしています。
高田郁さんの著書『あきない世傳』や『みをつくし料理帖』等の中に、
江戸時代の庶民が何度も流行病に襲われ、特効薬や特別の養生や手当にも
恵まれないなか、息を詰めるように過ごす様子が何度も出てきます。
例えば・・・
「江戸を襲った麻疹の嵐は、文月を過ぎ、葉月を終える頃になっても、
収まる気配を見せない。(途中略)
麻疹に効くお守りがある、と聞けば、どれほど遠くとも駆け付ける。
麻疹から身を守り、生き抜くことだけが、江戸っ子たちの目標となった。」
(『あきない世傳 金と銀』(八)瀑布篇より)
いつの時代も同じことを繰り返しているなあ、と思います。
災厄が過ぎ去るのを祈るように耐え忍びながら待つことしかできない人間たち。
迷信や根拠のない噂があっという間に広がるところも、今と同じです。
たしかなことは「いつかは、終わる」ということだけでしょうか。
コメント