変異株に感染する人が爆発的に増加して
出かけることを躊躇してしまう日々が再び。
この連休に、読み残していた推理小説の
シリーズを、追いつくところまで一気に。
(2冊ほど遅れていたので・・・)
英国が舞台とはいえ、もう訪れる機会が失われてかなりの時が流れ、
通りの名や地名、駅名を読んでもピンとくることが少なくなっています。
このキンケイド警視シリーズでは、私の場合、犯罪の謎を解き、
事件が解決に至る過程を楽しむことよりも、主人公の家族や友人たちの
普通の暮らしを長期間にわたってフォローすることに喜びを感じて
止められない、というところです。
ステップファミリーの子供たちもそれぞれ個性的で目が離せません。
もう一点、住処、マナー、身なりに加えて、言葉の発音や言い回し等からも
その人間の背景や身分、懐具合などまで細かく読み取られる社会、
常にそのランク付けの中で生きている人間たちの緊張感のようなものが
(警察官の捜査・人間観察に関連する描写も多いことから)直截に伝わって
きて、このシリーズを読むと、何やら心身が引き締まるのです。
日本では2020年に出たものが最新刊ですが、主人公・スコットランドヤードの
バリバリの警視(男性)が、長期の育児休暇を取って「元通り復帰できないかも
しれない」と心配する場面、やっと戻ったと思ったら自室の荷物が片付けられて
異動の辞令が机の上に置いてあった場面には「ふーん。欧米でもあるのね。
こういうことが」と親近感をもって一気に読み進みました。次が待たれます。
※ 『警視の謀略』(原題:To Dwell in Darkness )
デボラ・クロンビー・著 2020年6月初版
講談社文庫 1,000円+税
ISBN978-4-06-520166-4