若い世代の人たちは詳しくご存じないのかな。
高峰秀子さん(1924~2010年)。本日が命日。
没後10年になります。女優、エッセイスト。
子役出身で大女優にまで登りつめた稀な才女。
私は、演技に関してはあまり記憶が無く、むしろ書き残された
ものの方から親しみを感じてきた世代です。文章に滲むキップの
良さが大好きで、お料理の本も長年手元に置いています。
このおしゃれの本は、刊行直後に本屋でパラリと開いて
「悶絶するくらい素敵だな」と思って、その次に
図書館でリクエストして「鑑賞」して、やっぱり自分用に
欲しくなって、本屋で取り寄せてもらうように手配中です。
仕立てられた超シンプルなスーツやワンピース。革の手袋等々。
どれもこれも、ため息ものです。「審美眼」とか「吟味」とか
いう言葉は、もはや死語に近いのかもしれませんが、それらが
この本の中では今でもしっかりと息づいているように感じられます。
養女になられた斎藤明美さんも、お寂しいでしょうけれども
「高峰秀子に選びとられた」というだけで、もう人間として
お墨付きが与えられたように勇気凛凛なのでは・・・。
※ 『高峰秀子 おしゃれの流儀』 高峰秀子 斎藤明美 ・著
筑摩書房 2020年4月初版 1,800円+税
ISBN978-4-480-87910-3