哲学者、鶴見俊輔さん、84歳。
「核と戦後民主主義」というテーマで、
10月24日に朝日新聞(朝刊)の対談シリーズがスタートしました。
一回目のお相手は、政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)さん。
たまたま、ごく最近、姜さんの講演を聴く機会があり、
鶴見さんと対談したことにも触れられていたので、記事は興味深く読みました。
鶴見:今の政治家には物事を大きくつかむ力が欠けている。
土佐の坂本竜馬、後藤象二郎、薩摩の西郷隆盛、大久保利通ら、
幕末から明治にかけて大きく時代をつかむ人が出た。
姜:「大きくつかむ」ための根っこは何でしょうか。
鶴見:(一部略)
答えは一つじゃない。いくつもあって、それが思索というものなんだ。
しかし、学校では正しい答えは一つと決めてしまう。
概念をきれいに整理して箱に積み上げる。
そこでは混沌とした部分は切り捨てられる。
残滓のないまま、箱を積み上げていくと効率はいい。
しかし、最後は戦争になるんじゃないのか。
姜さんは、私が聴いた講演の中で、この対談を振り返り、
「歴史をわしづかみにできる知性」が、今こそ求められている、
と噛み締めるようにお話されていました。
・・・わしづかみ、という言葉には、確かに力が備わっているように感じられます。
歴史だけではないでしょう、今、わしづかみにしなくちゃならないのは。
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