ダンスやバレエのプロ、教師、興行関係者、報道関係者、
専門誌の編集者などにお会いする機会も多く、
様々なスタジオにお邪魔して、直接のリポートを書いたりもしています。
バブルの全盛期、子どもにたくさんの稽古事を強いる親が急増し、
ダンス・スタジオにも「自分は子どもの頃に習いたくても親が許さなかった」
「経済的に裕福ではなかったので、今やっと子どもに自分の夢を託している」
という話をよく耳にしました。
当時は、どこのスタジオの発表会も、参加人数が多く、
それは華やかだったものです。
ここ10年ほどの間に、少子化も進み、稽古事を厳選し、
比較的早い時期から、進路を定めて、無駄(つまり、その進路に
直接関係無い稽古事)を、どんどん切り落としてゆく傾向が
見られるようになりました。
高学歴よりも、本当に打ち込めるもの、身に着ける技術や芸で
生きていく選択肢だってある、という価値観も、浸透しつつあります。
経済的にも、割り切ってどこかに力点を置かざるを得ない、という事情も。
男の子にだって、ダンスを子どもの頃から喜んで習わせる親も
格段に増加しています。
日本でも、芸能人そこのけで、華々しい活動をするダンサーや、
集客力のあるダンサーが、出てきたからでしょう。
(実際には、芸だけで食べているダンサーは、
5本の指の数ほどしか存在していないかもしれません。
多くのプロは、海外へ出て踊っている人たちです。)
内外のコンクールに次々にトライさせ、海外のプロ養成校や
バレエ・カンパニー、ダンス・カンパニーへ、
次々に生徒を送り出す教師の仕事も定着してきました。
そのような教師のスタジオは、「情操教育のために」「趣味・教養として」
「一生丈夫で美しい身体の基礎をつくってやりたい」という目的を持つ
生徒を預かるスタジオとは、まったく別物です。
親もある種の覚悟や信念を持って、力を注ぎ込む世界。
両者(趣味目的の者とプロ志望者)を、あいまいなまま抱えていた
一般のスタジオ事情は、これからはより激しく両極化するのではないか、
というのが、私の個人的な予想です。
「本当に好きだ、自分にはこれしかない!」と思えるものを
子ども自身が見つけて、それを親も教師も全霊を注ぎ、応援できる。
そんな環境にある子どもは、幸せなのでしょうね。
ちなみに、ダンスの世界では、15、16歳くらいで、
ほぼプロとしてやっていけるかどうかの能力の見極めがなされます。
肉体を使う芸術ですから、ほんの一部の例外を除き、
現役として活躍できる平均年齢が若く、期間も短いのです。
本当に大成できるか、という賭けに挑むだけの財力と周囲の理解、
そうならなかった時のセイフティー・ネットを、幾とおりも準備してやれるか、
という課題も浮かび上がってきます。
だからこそ、ある種の儚さとともに、
その美しさが心により強く響くのかもしれません。
←←← ・・・これは、一種の「夢の靴」なんですよ。。
いや、ホントに。
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