Calvina's Corner

楽器のそばで演奏を聴くこと。

このところ、続けて弦楽四重奏ほか、
小編成の器楽演奏を聴く機会が続きました。

自分で楽器を演奏するか、身近に演奏する人がいるか、
仕事でそういうところに始終出入りしているか、などなど、
何か特別の理由がなければ、なかなか至近距離で
生演奏をひんぱんに聴くことは難しいですね。

演奏している人の息づかいや、メンバーたちの
「あ・うん」の呼吸を追求する姿勢も、鑑賞の醍醐味のひとつ。

個々の演奏家が、どのような性質の人であるかも、
そばで聴くと、途端に透けて見え始めます。

音は、見えない帯になって私の身体にまとわりついたり、
針よりも細く強い線になって身体の細胞を突き抜けたり、
心のへりのところを強くかすめて、じらすように離れ去ったり。
何らかの機械を通して鑑賞する時とは、別のものです。

私の好みは、端正な演奏よりも、
熱っぽく、ちょっとばかり色っぽいもの。
「脱帽クラス」の素晴らしい演奏を、
ぜひ目の前で浴びるように聴いてみたいものです。

★カルテットと言えば、デンマークから実力派の４人組が
来週東京で演奏します。　お近くの方は、ぜひ。
ニールセンの作品、なかなか生で聴けませんから。

※「パイゾ・クァルテット」　初来日コンサート
　　とき：　６月６日（水）　１９：１５開演　
　　ところ：　第一生命ホール（都営地下鉄大江戸線「勝どき」駅徒歩約８分）
　　（彼らの公式ユニット名は、カルテットではなく、クァルテットと表記します。
　　　「パイゾ」とは、ギリシャ語で「私は弾く」という意味です。）

　　詳細はこちら↓↓↓から
　　http://www.triton-arts.net

大江健三郎賞の対談から。

第一回大江健三郎賞は、長嶋有さんの『夕子ちゃんの近道』に。

18日に行われた、大江さんと長嶋さんの公開対談を要約した記事が
朝日新聞（５月２７日文化欄）に掲載されました。

この賞のご褒美は、賞金ではなく、海外での翻訳出版で、
このことでも人々の注目を集めています。

対談の中の次の一言が、心にひっかかって離れません。

大江：自作を翻訳で読むと、自分の人物像に新しい光が当たる。

翻訳者の仕事って、本当に重いと思います。
「ある意味、楽天的でなければモタナイ」と言う人もいるくらいに。

小説の場合には、翻訳されても、作者の意図している人物像と
同じ角度に、同じ量と質の光が当てられるべきものかなあ、と
勝手にうすぼんやりと考えていましたが、
大江さんのこの言葉には、許容範囲のもっと幅広い、奥深い、
確固たるものを世に送り出しているのだ、という自信なのか、
余裕なのか、ある種の寛容さがにじんでいるように
私には感じられたのでした。

また、大江さんの場合、自作が翻訳されたものを
自ら読みこなしてしまう語学力も備えている、ということが
このような発言の元になっているのではないのでしょうか。

勉強をしても、しても、なかなか前に進まない、
むしろ、維持していくだけでも難しいというのに、
ちゃぁんと力を蓄えて大きくなっている人たちが、いるんですよね。

一年スキップして、やっと！

　昨夏、たくさんの蕾をつけたまま
　無残にも一輪も咲くことがなかった
　私の家の時計草。
　ずーっと心配していたので、
　今年の元気な開花は、とってもうれしい。


　たしかに時計の文字盤のように見えます・・・。

　Passion Flower　という英名も、
　効果的な紫色の配置も、なかなか良いです。

花泥棒にやられませんように！　（ちょっとヤナ予感が。）

捨てる時期。

「ガメ子」と嘲笑されるほど、捨てるのが嫌いな私ですが、
いくらなんでも時々は、まとめて捨てる時期がやって来ます。

それが、どうも今みたい。

できるだけシンプルに、余計なものを遠ざけて生きたいのですが。
それには「切り捨てる勇気」「思い切り」というものが要ります。

捨てる際にもお金を支払う時代になりましたから、
大切な手紙やノートを自分で燃やす、なぁんていうことはなくなりました。

捨てるコツは「思い出にいちいち浸らないこと」だそうです。

青いペディキュアの男の子！

ビルケンシュトックのサンダルを履いた、
茶髪の男の子が、私を追い越してゆきました。

顔はわかりませんでしたし、
服装も、地味な綿パンと綿シャツだったというくらいしか
記憶に残っていません。

ブルーのペディキュアをしていることだけが、印象に残りました。
トルコ石のブルー、あまりパールの入っていない、
しっかり主張するブルーでした。

もうすぐ、夏がやってきます。

カエルの鳴き声が。

春と夏との境を告げる雨が落ち始めました。

いよいよ落ちる寸前に、湿り気が充満するような、
「もうすぐ、来るぞ、来るぞ」という感じ、
エネルギーの塊が行き場をうかがっているような感じが、
この時期、この風土独特のような気がして。

遠くで声をあげ始めたカエルたち。
まだ、鳴き慣れていないのや、下手なのが、いっぱい。

天からの恵みの水を待っているものすべての上に、
どうぞ充分に降りますように。

映画『ストリングス～愛と絆の旅路～』

映画『ストリングス（STRINGS）』（2004年・デンマーク）。

マリオネットだけで作りこまれた物語です。
全体に画面はほの暗く、命の意味を問う（やや重い）内容からも、
大ヒットは難しいのでしょうが、心の奥に静かに静かに残る、
そんな作品でした。

日本の人形浄瑠璃も、真っ向勝負の記録映像としてだけではなく、
この『ストリングス』のような新しいアイディアを吹き込んだ作品として
形になればうれしいのになあ、と思います。

吹き替えにＳＭＡＰはじめ人気俳優を配したことで、
新たな客層を呼んでもいるようですね。

ＳＭＡＰといえば、メンバーの香取君がこの映画のキャラクターを
イラスト化したものが、ビームスの協力でＴシャツになっています。
実物を見ましたが、ちょっとおもしろい仕上がりでした。

こちら↓↓↓からご覧になれますが・・・ちょっと写真が小さいですね。
　　　http://www.stringsweb.net/p/index.asp

ひさしぶりに、ホットケーキ・ミックス！

思いたって、ホットケーキ・ミックスを買ってみました。

指定の分量より少しだけ多めの牛乳と卵を混ぜて、
手作りのヨーグルトを二匙ほど加えて、
少し寝かせてから、テフロン加工のフライパンで焼きました。

小さめにたくさん焼いて、メープルシロップとハチミツとで
食べ比べてみました。

・・・甘くて懐かしい香り。こんなに弾力あったかしら、昔のは。

先日読んだ料理の本に
「小さい時に好きだった食べ物は、一生好きなことが多くて、
成長するにつれて、食べられるようになるものや好きなものは
増えていくのだから、好きな食べ物は大人になるにつれて
増えていくのです」という説が書かれていました。

たしかに、小さい時に好きだなぁ、と思った食べ物は、
今もおいしく感じます。

柔らかいイエロー。

日中、激しく蒸し暑い時間が増えてきました。

さあ、大変。苦手な季節の到来です。
うまくサバイバルできるだろうかと、ものすごく心配。

涼しげな陶器の古いイヤリングをスタンバイさせました。
ちょっと金色の部分がはげていますが、今はそのままです。

　真っ白なジャケットやブラウス、
　未ざらしの麻のシャツも、
　スタンバイさせました。
　何か｢お楽しみ」を作らないと、ね。

よそいき気分で珈琲。

特別の時だけしか立ち寄らないと決めている珈琲店。

良いことがあった時。　反対に、哀しいことがあった時。
独りで考え事をしたい時。　
そして、コーヒーの味そのものを、
目をつぶってただただ味わいたい時。

気のおけないおしゃべりや、仕事の打ち合わせには向きません。
軽食やランチもまったく出していません。
ここは、おとなのバーを、珈琲店に変身させたような空間です。

吟味した豆を、さらに目玉が寄るくらい一生懸命に選別した後、
手作りのネル・ドリッパーで、丁寧に丁寧にいれてくれます。

店内にはバッハの曲がかすかに流れていて、
小さめの花（野の花に近いもの）や絵画や写真の額が
ひっそりと置かれています。

今の季節だったら・・・熊谷守一が墨で描いた蛙たちが
カウンターの奥に。のびやかで笑っているみたいな蛙たち。

珈琲だけではなく、店主の美意識を世に問う空間でもあります。

（私は、普通に飲む時は「コーヒー」と、よそいきの時は「珈琲」と
書きあらわすことが多いです。）