これまでに幾度か、お食事どころや劇場内でお見かけしていました。
「プライベートでお話されている時には、こんなに活発に
見えたりもするんだな」と、驚かされたのを憶えています。
でも、相変わらず山口小夜子さんの細く白いイメージは変わりなくて、
手足はどこまでも長くしなやかで、背中は薄い磁器の板のようで、
口元にかすかに微笑みの浮かんだような顔も独特でした。
それらは、偶然の産物ではなくて、
彼女の知性で、練り上げられたものだと思います。
8月14日夕方に亡くなっていた、というニュースが
国内外を駆け巡ったのは、今夕になってからです。
いつの日か、その独特の舞台パフォーマンス
(これをダンスと呼んで良いのでしょうか?)を
この目で拝見したかったなあ、と思います。
「この人に老醜は考えられない」って
みんなが心のどこかで思っていたことが積もり積もって
現実になってしまったような哀しさと納得が
私を一度に襲ってきています。