「毎週水曜日には、幼稚園が終わった後で、
博物館や美術館などに連れて行くようにしているんです。
なるべく定期的に。
それからね、日曜日の夕ご飯には、子どもたちにも
私の祖父母が使っていた銀のカトラリーを並べて
私たちの国が誇りに思っている窯の良いお皿で食べさせます。
(普段の食事は、まだ子供たちが小さいので
もっと簡単なしつらえですけれど、ね。)
私は、例えば早く亡くした祖父の思い出を、
カトラリーを握っていつでもこの手に呼び戻すことができますし、
子供たちには、きちんとした食事を通して
先祖や、祖国のことを少しでも深く理解する大人に
育って欲しいと思っているからです。
そうして自分の根っこや背景をしっかり持っている人間に育てば
異なる国やその独特の文化にも、尊敬の気持ちで接することが
必ずできるはずですから。
こういうことを考える若い人たちは少なくなりました」
デンマークのしっかり者、Fさん。 職業ももちろん持っています。
そのたたずまいには、日本ではもはや‘絶滅’に近くなってしまった
「ヤマトナデシコ」そして「賢夫人」を思い起こさせる雰囲気がありました。