青柳恵介さんが、つきあいの長い骨董屋さん35人の半生、
店のこと、骨董談義などをまとめた本を読んでいたら
ある骨董商の言動を説明する箇所に
次のような言葉が出てきました。
「昔気質のプロの骨董屋さんには、自分の見極めた確信を
簡単に口外せず、さらに何度も自分の中で叩いているような
気配があり、それが何とも人に信頼感を与えるのである。」
何も骨董屋さんでなくても、「確信を自分の中で叩く」という行為が
消えて無くならなければ良いがなぁ、
(「私もそういうことをサボリがちだよなぁ」)と思っている次第。
※ 『骨董屋という仕事 --- 三五人の目利きたち』
青柳恵介・著 平凡社 1999年10月初版 1,700円+税
ISBN4-582-26806-4
ワタシ的には「思ってて言わない」のは卑怯だと思ってしまうところがあります。「有言実行」でありたい。口に出した瞬間、責任が発生するワケで、口に出さないのは「無責任」につながるのではないか?と思った次第。あくまでも通りすがりの感想です。
投稿情報: kwhats | 2009/09/25 02:55
kwhatsさん!
本からの抜書きが短すぎて、わかりにくかったですね。すみません。
結論から言うと、この骨董商は、ずばりと「駄目な品物です」と
おっしゃったそうです。
この後藤さんという骨董商のところに、青柳さんが若い頃に
おつかいで器を鑑定してもらいに行った時のエピソードですが、
その時に、どうも本当は、一目見るなり「これは箸にも棒にもかからん」と
確信したようだったのに、
きちんと青柳さんを前にして、もう一度ていねいに器を手に取り、
光にかざし、言葉や説明の方法をよく考え、
説明をしながら「駄目だ」とおっしゃったそうです。
つまり、ここで私が取り上げたかったのは、
「すばり思ったことを口に出す前の自分の中の作業が
(それが瞬時のことであっても)ていねいにできているかどうか」
ということでした。
しかも、この骨董商の場合、若いお客さんにも
その作業の過程をきちんと見せた、ということですよね。
私も「何も言わないことは、何も考えていないこと、何も考えられていないこと」と、
すっぱりみなされる文化の中に身を置いたことも(少しですが)ありますし、
そこには良さも残酷さもあると思います。
「思ってて言わないのは卑怯、不親切」というkwhatsさんの心意気は
大好き・・・というか、惚れ直しましたけどね。 ふふふっ。
投稿情報: Calvina | 2009/09/25 10:22
確信をさらに叩く・・・これが足りないから失敗するわけでして。
すばり思ったことを口に出す前の自分の中の作業が
(それが瞬時のことであっても)ていねいにできているかどうか」
ということでした。
あいたたた・・・。
何故そうなのかをていねいに伝えることはむずかしい。
反対によくなんでも言い合える関係ってあるけれど
ほんとうになんでも言い合っていたら、とても暮せません。
言わないほうがいい事があることを知っていることも大事なような気がするのです。
言葉はむずかしいけどおもしろい。
叩きが甘いコメントでした。
投稿情報: ふくわうち | 2009/09/26 10:40
ふくわうちさん!
そう。難しい。でも、おもしろい。
がんがん叩こう。内側で。
この「確信を叩く」という言葉そのものを
読んだ瞬間に、とても美しく力強いなあ、と思いました。
それが、このことを考える入り口になったようです。
投稿情報: Calvina | 2009/09/26 14:19