「一生、アートと呼ばれているものに触れずに終わる人たちが
日本にも相当数いるんだよ。 世界全体ならば、もっと多いだろうね」
という話にギョッとするような人は、もはや存在しないのかも。
「生きるだけでも大変。それどころではない」という人たちも増えています・・・
けれども、もしかすると、そう思っている人たちにこそ、
「それ」が必要なのかもしれないのです。
経済問題が、いつも立ちはだかって前に進みませんが。
東京文化会館(東京都台東区上野公園5-45)が、
「劇場に通うファンを若いうちから育てよう」ということから
高校生から20歳代前半の若い年齢層のために
劇場の中(バック・ステージ)や総合リハーサルを
無料で公開する啓蒙活動を続けています。
『青少年のための舞台芸術体験プログラム』と言います。
話が少しそれますが、私は、アーティストたちの学校訪問と、
そこでの演奏・演技の披露、という啓蒙活動には、
限界があると考えています。
どちらかと言えば、本物の劇場にきちんと出向いて、
その中で、本物の作品をそのままの状態で体験する機会を
提供することこそ、大切なのではないかと。
美術館や劇場に、学校から出向いて見学をする、
というプログラムが、将来もっと普及することを希望します。
(欧米の美術館なんて、幼稚園生や小学生くらいの
小さな人たちのグループを、平日にたくさん受け入れていますよね。
うらやましいことです。)
東京文化会館のこのプログラムに参加する
若い人たちのための冊子の作成を
お手伝いをさせていただきました。
光栄で楽しい仕事になりました。
指揮者、オペラ歌手、バレエダンサーのインタビューのうち、
ダンサーの項を担当し、上野水香さん
(チャイコフスキー記念東京バレエ団)にお会いして
「プロのバレエダンサーって、いったい
毎日どんな生活をおくっているのかな」という素朴な疑問に
少しでもこたえることができたら、という内容で書きました。
身体の不調や痛みに苦しめられていても、なんとかメンテナンスして
本番では及第点以上をとり続けるのがプロです。
休みの日には、日がな一日じーっと起きられないことがあったり、
治療や整体に時間をかけたり、と、厳しい生活の一部を
少し覗かせてもらいました。
水香さんの脚は・・・膝小僧が引っ込んでいて、
そこから足先までのラインが、ヒューンとしなやかにカーブしていて、
当然長くて、バレエをやっている者ならば、誰でも喉から手が出そうな
そんな神さまからの贈り物です。
「恵まれている」と言われ続ける人たちには、
できるだけ長く踊り続けて欲しい、といつも思います。
むしろ、歳をとってから何をどう見せてくれるのか、ということにこそ
真のおもしろさがあると思っていますから。
ただ、神さまからの贈り物は、えてして重たい重たいものです・・・。
※ 『青少年のための舞台芸術体験プログラム』
内容詳細とスケジュールはこちら↓↓↓から
(‘昔、青少年だった’私も、拝見したいものが目白押し・・・あぁ。)
http://www.t-bunka.jp/program/index.html
※ 上野水香さんの公式サイトはこちら↓↓↓から
http://www.mizukaueno.com/
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