Calvina's Corner

児玉清さんのエッセイ集 『負けるのは美しく』！

　没後あっという間に２ヵ月経とうとしています・・・
　この本をもう一度読み返してみました。
　今回は、各エッセイに添えられた英語の文句も
　真面目に読もうとしてみました。
　（写真はルーズベルト夫人の言葉）

偶然が重なって、児玉さんは俳優になった・・・ように見えて、
本当はこれこそある種の‘天の配剤’なのかもしれない、
児玉さんの存在と生き方は、児玉さんには苦しかったかもしれないけれど
天から私たちへのプレゼントだったのかもしれない、と思えてしかたありません。

だって、学者になられていたら、私たち一般人のほとんどの者とは
一生接点が無いままだったかもしれないからです。

※ 『負けるのは美しく』　児玉清・著　集英社文庫
　2008年3月文庫版初版　560円（税込）
　ISBN 978-4-08-746276-0

※ 児玉清　（こだま・きよし）
　1933年12月26日 - 2011年5月16日

七夕。 Tanabata, Japanese star festival

　都内デパート。 仙台・七夕のディスプレイ。
　下方には普通の笹と短冊もあります。
　今回は自分の願望は脇に置いておいて
　被災地のことに関する想いを綴った人が
　ほとんどでした。 この後現地へ届けるようです。

「東京の電気のために苦労をかけてごめんなさい」と書かれていた短冊が
たまたま目にとまりました。

最近、夏の商戦のテーマの一つとして、七夕を「サマー・バレンタイン」という
名前で掲げている例が目立ちますが、そちらには今ひとつピンとくるものがありません。

佐藤錦！ Japanese cherry, called Sato-nishiki

もう２年前になりますが、料理上手の友人からいただいた
差し入れの白和えに、なんと佐藤錦が入っていました。
グリーンアスパラと佐藤錦の組み合わせ。 おー、ブルジョワ。

　宝石のようなこの果物を‘切り刻む’という発想が
　私には欠けていたのですが、以来、シーズンが来ると
　あの感動を思い出して自分でも作ってみています。
　さすがに切り刻むことはできず、「縦半分どまり」です。
　今日はクリームチーズと。
他には、白醤油にハチミツとバルサミコを少しだけ。

小さい頃、鮮やかな赤や緑のドレンチェリー（「Drained cherry」、
砂糖漬けに着色したもの）が大嫌いでした。
こっそりよけて、できる限り食べなかったのを思い出します。

ドレンチェリーさんは、「佐藤錦と比べるなんて、フェアじゃないぞっ！」
と怒るかもしれませんねぇ。

MUJIのOさん！

ネットで見かけた商品が、近くの店に見当たらないうえに、
全国の在庫もほとんど無くなっているようだったので、
規模の大きな東京の店に電話で問い合わせてみました。

丁寧に名乗った後、Oさんはてきぱきと商品をPCで探している様子でした。

「一点だけ残っている店舗が、ここからチェックする限りはあるようですが、
実際の在庫数と、お売りできるものがご用意できるかどうかは異なる場合が
あるので、いったんお電話を切って探してみます。

それから、実際に見つかった場合も、通常ネット販売している商品ではないので、
見つかったお店とお客さまとで、直接やり取りしていただき、どう送るのかを
相談していただくことになると思います。 その場合、送料をご負担いただくことに
なります。 ご了解いただけますか？」と。

２時間以上経過して、回答が戻りました。

「大変お待たせしました。 欲しいとおっしゃっていた２点が、
別々の店で一点ずつ見つかったんです。
それでですね、それぞれ別々に、私が先ほどご説明したような送料をいただくと
申し訳ないので、今回はご住所に近い店舗までこちらからお送りして
その店舗で、２点一緒に受け取っていただけるように手配済みです」

こちらが恐縮していると、「いえ。 ご愛顧いただき、どうもありがとうございます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」と。

はぁ～。 マニュアルでしか動かない人がほとんどかと思っていたので
Oさんのこの仕事ぶりには、ジンとくるものがありました。

これを読んで「なーんだ、普通のことじゃん」と思った人もおられるかもしれませんが
まったく普通じゃないんですよ、今や。 こういう対応、数少なくなっているんです。

バティークのワンピース！

インドネシアのバティークに目がとまりました。
いかにも上等なものだとお見受けしましたが、
強烈な太陽光を思い起こさせる大胆な柄です。
茶、青、赤、黒の不思議な組み合わせ。

その綿布を、原型に近いシンプルな半袖丸首のワンピースに仕立てたものを
着ている女性。 スカート丈は、ふくらはぎが隠れるあたりまでの長めです。

ショートカットの髪は、明るい茶色。
細い皮ひもを金色に染めて編んだサンダル。素足。
淡いミルク・オレンジ色の麻の細いストールを首にふわりと巻いています。

その人がバスを降りてゆくと、私のすぐ後ろに座っていた女性二人が
「あの人、とっても涼しそうで良いわね」「ホントに」とささやきました。

私もそう思いました。
いわゆる「今風」のおしゃれではないけれど、よく似合っていて涼やかで。
還暦前後でしょうか・・・。 細身の長身で姿勢も良く、とても素敵でした。

ばななさんちのチビちゃん！

　本屋さんの帰りに、暑さで頭がくらくらしたのを
　口実に、コーヒー屋さんの一番奥の席に陣取り、
　この本まるごと一冊読破してしまいました。

　小さい人は、一人ひとりが「タダモノじゃない凄いヤツ」
　だぞ、ということを、ぼんやりとはわかっていても、
　こんなにはっきりと書き表せる人はなかなかいません。
　よしもとばななさんの観察、分析、そして筆力！

華鼓さんという人の挿絵（鉛筆画？）も素晴らしくて、
ちょっと味戸ケイコさんの作品を思い出したりしたし、
涙が出そうにジンとした箇所もあって、素敵な本です。

それから、息子さん（自分で自分のことを「チビちゃん」と呼びます）の
なんと独自に賢くオモロイことでしょうか。
（正確に「このエピソードは何歳何ヶ月の時のものです」と書かれていないところが
想像をかき立てられてうれしいところ。）

このように丁寧に育てられている小さい人たちと、そうでない人たちの
差がどんどん広がっていることを思い出すと、どうしても心が痛みます。

２年分の月刊誌への連載分をまとめたものですが、
３点、気になったことを書かせてもらいます。

その一。 前後にもう一年ずつ、計４年分のボリュウムで
もっとたっぷり読ませていただきたかったです。
（こういうのは、いつまでも読んでいたいから。
でも、チビちゃん本人のご意向は「NO」でしょうね。）

その二。 大型の本で、連載中のように１ページ完結の形に
まとめられたもの、チビちゃん本人の絵を使ったもの
（当ブログでご紹介しているのはその一部です）も名残惜しいな、
と思いました。 （この新刊本は、１エピソードに４ページの割合。）
最近、大きく重く高価な本は少なくなりましたもんね。

その三。連載中の副題は、次のとおりでした。
「A landscape only 10 meters away」
・・・　何故「１０メートル」、なんでしょうか、ね？

当ブログ画面右側『カルビーナの本棚』にもご紹介中です。

※  『すぐそこのたからもの』　よしもとばなな・著
　文化出版局　1,300円+税　2011年7月初版
　ISBN：978-4-579-30436-3

パウル・クレー展！ Paul Klee

3月に京都で開催された展覧会が東京へ。
現在、東京国立近代美術館で公開中です。
（副題：おわらないアトリエ）

時間が許せば、半日くらいは会場に居座りたかったなあ、と思います。

　今回一番気にいった絵です。
　タイトルは『蛾の踊り』。
　写真をクリック⇒拡大してご覧あれ。
　アンナ・パヴロワが踊った『蜻蛉』を
　思い出してしまいました。　
身体のラインの美、というよりも、重心のコントロールの具合まで見える感じ。
（愛知県美術館蔵とのこと。）

クレーは好きな画家の一人です。
音や色や匂いが、こちらの鑑賞のペースに合わせて
ふわふわと立ち上ってきてくれるような感じがするから。

絵は左手で描き、文字は右手で書いた、と初めて知りました。
また、作品をランク分けして番号で整理し、技法についての記録も
詳細なものだった、ということです。 真似できんのぅ。

難しい人だったようなので、会ってみたいとは思いませんが
私の中では比較的早くにその存在と作品を知った画家ですし、
作品には、細かく細かく制作した形跡はあるものの、
あまりキリキリと神経質なところは感じられません。
これからももっと知りたいアーティストだな、と思っています。

いつの日か、スイス・ベルンのパウル・クレー・センター（Zentrum Paul Klee）を
訪ねてみたいものです。 夏に行けば涼しいでしょうしね・・・。

※ 東京の展覧会は、７月いっぱい開催されています。
　 詳細はこちら↓↓↓から
　http://klee.exhn.jp/

インドの知恵。 Old Indian clothes

　かれこれ30年ほど前に
　パリのデザイナーがインドで作らせた服の一部。
　化繊に機械刺繍。 高価なものではないけれど
　暑い季節の日常使いに耐えつつも美しいうえに
　身につけると抜群に涼しい、という優れもの。

　これからは、ますます南国の暮らしの知恵を
　学ばなくてはならなくなるはず。