毎年、春一番にチェックすることにしている服のブランドが
いくつかあって、そのほとんどは(当然)「見るだけ」です。
けれど、それはそれで恒例の楽しみになっています。
例えば、白いシャツやブラウスを見に行く、と決めている店。
毎年、3月半ばに入る春物は、梅やクリスマスローズの
開花のように、目を、そして心を喜ばせてくれるものでした。
ところが、今春、このメーカーでは、リリースがやや遅れているうえに、
明らかに新作の全体数を減らし、使用する素材もより安価なものに流れ、
縫製の段階で凝った手法を避けた単純なフォルムのものばかりが目立ち、
「こんなに世相を映しているものかな」と驚かされました。
この後、いくつか持っていた別ラインを、整理・縮小するようです。
そういえば、春夏にTシャツをチェックさせてもらう別メーカーでも、
いつの頃からか、素材がオソマツに変わり、縫製も国外に移りました。
宣伝写真で見ると、そこそこ洒落て見えるものですが、実際に
手に取ると、‘よき時代’の商品との落差に愕然としてしまいます。
「上等の新品」が欲しければ、当然高額を支払わなくてはなりません。
二極分化がさらに進んでいることを実感する春になりました。
その二極間を埋める新しい価値観と方法を見つけた人こそが
心豊かな生活を続けることができるのかもしれません。
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