フランス料理の功労者、ムッシュ・エスコフィエ。
「名前の他は、きちんとわからないまま」で、長く
ほったらかしのくせに、それを気にしていたところ
故・辻静雄氏のわかりやすい解説本を見つけたので
読んでみました。 辻氏は学者肌でもいらしたのね。
分厚くもないので、スラスラと読み進めることができて良かった!
エスコフィエ以前の料理人たちの様子や「以前」と「以後」で
劇的に変化してゆく調理場の様子や役割分担、メニュウ、
しつらえ、サービスの方法などが興味深く、エスコフィエ本人が、
アートを創り出し提供する芸術家であった、また、リッツとの
組み合わせも不可欠だった、ということがよくわかります。
今の世の中では、価値観も多様化し、社会の構造も世界情勢も
変化し続けているので、料理や食の世界も、ますます把握や
評価が難しくなっていますよね。 一個人の功績の評価もまた
一辺倒というわけにはいかないのでしょう。
「とんでもない天才肌」「改革者」も見出されにくいご時世。
食を職業にしている人たちのうち、こういう文献を喜々として
チェックするタイプはどれほど存在するのかなぁ、とも思いました。
※ 『エスコフィエ 偉大なる料理人の生涯』
辻 静雄・著 復刊ドットコム 2013年9月初版
ISBN978-4-8354-4941-8
1,700円+税
(辻静雄ライブラリー3)
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