オスロでは、ムンクの美術館を生まれ変わらせる
準備が着々と進んでいるようです。
一人の画家の作品だけで数多くの作品が現存し、
国をあげて大がかりな美術館が運営できる例は
それほど多くはないのではないでしょうか。
昔、現地で訪れた美術館は薄暗くひっそりとしていました。
「陰鬱な」という形容がピッタリな空間でした。
展示されていたあの『叫び』をはじめとする作品群の一部は
現在日本にも来ていますが、何やら明るい光のもとに
引っ張り出されてビックリしているようにも見えます。
(作品保護のために、光量はもちろん調整されていますが、
展覧会自体は、多くの人たちが集まっていますから
華やかな雰囲気に包まれています。)
幼くして家族を病で失くし、自分も決して健康に恵まれた
一生ではなかったかと思いますし、妻帯もしませんでしたが、
長生きしてたくさんの作品、‘子ども’とも呼べるものを残したムンク。
「孤独のうちに死んだ」と度々解説されているのを目にしますが、
アーティストとして長い命を生き、数多くの‘子ども’を残せたの
でしたし、その子どもたちが今華やかな場に飾られ称賛を浴びて
いる、という事実。 ある意味では幸せな一生だったのではないか、
必ずしも不幸ではないだろう、とも思うのです。
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