一生のうちに何本映画を観られるかわかりませんが
私の中で最後に5本の指に入るであろう作品です。
日本で封切りされてから20年、作曲家・モリコーネ
さんが星になった今夏、4Kデジタルリマスター版
とイタリア完全版が両方上映されることになり、
(当然)再チェックしました。
約20年前に日本で公開されたものが、なんと40分も短い版だったとは!
宣伝・公開時に「一部抜きました」とは関係者の誰も積極的に
告白しないでしょうが、「んじゃ、これまで事実を知らなかった私って
いったい何?」と、(やや)憤りを感じています。
他の海外作品にも、こういうことが頻繁にあるんでしょうかね。
ファンタジーなのだと自分に言い聞かせて鑑賞してきたのですが、
‘突っ込みどころ’や違和感が少しでも減ることを願って、長い版を観ました。
でも、なんといっても、この作品の主役は音楽そのものだと思います。
サントラ盤も以前から欲しかったのですが、調べると日本版は評判があまり
よろしくない(大切な曲が入っていない)ので、EU版を探してみました。
おさめられているどの曲にも‘穴’が無く、粒ぞろいとはこういうことを指す
と実感。せつないメロディーが、秋の夜長にいっそう広く深く染みわたります。
原作も今夏の公開を契機にチェックし、こちらもこちらで味わい深い、という
よりも、原作の素晴らしさが映画化の成功を支えたのだな、と納得します。
大変簡潔な、独白劇の台本のようなもので、‘戯曲’と呼べるのかどうか・・・。
1994年に初演。 日本でもこちらを誰かぜひ上演してもらいたいな、と。
映画では、どの材料をどのように選び取って、あるいは、どの断片から触発され
どのようなピースが生み出されて、それらが編み上げられているのか、
という過程を自分なりに辿り考える作業も含めて、全体をフルに楽しみます。
・・・ホントはね、この完全版のDVDを日本で発売して欲しいんです。
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