踊りを単発で何作か拝見してきましたが、
正直よくわからないものも中にはありました。
独特の「場踊り」の意味や、世界各地での
パフォーマンス、日常生活等をまとめて紹介
しているこの映画には良い指針をもらいました。
個人的には、人造の施設で踊る時よりも、
緑に囲まれて踊る様子が美しくて好きでした。
泯さんは映画『たそがれ清兵衛』(2002年)で、世の中に広く知られる存在に
なりましたが、本作の中では、一生をかけて「こどもらしさを共存させて
生きること(これを「私のこども」と表現)」「心がふくれあがるような
瞬間を大切にする」と、その想いを自ら説明しています。
奇しくも、北京オリンピックで競技を終えた羽生結弦選手が、
「僕の心の中にいる9歳の自分がいて、あいつが『跳べ!』って
ずっと言ってた」とコメントしていたことと共通点があるように
思います。
人の表現や生き様というのは、物心がついた頃の‘原点’を守り、
それと対話し、指標として育て続けることなのかな、とも思います。
大部分の人は、その余裕や方法を失っている、または手放している
のかもしれません。
40歳の時に「農業で身体を作り、踊ってゆく」と決心した泯さんは、
現在76歳。年上でこんなアーティストが元気に清々しく進む姿に、
もうそれだけで勇気をもらう(ハナタレ小僧程度の)私たちです。
カッコ良い風貌だけども・・・怖く見えることもあるじゃないですか。
これがもしも、もしも、仏様のような顔だったりしたら、同じ表現が
どうなるのかな、ともチョロッと頭をよぎったりします。
※映画 『名付けようのない踊り』 公式サイトはこちらから
蛇足ですが、泯さんと一緒にいる猫たちの紹介も、本作の中に、個々に。
猫たちも幸せそうな様子をしていました・・・。
また、映画のパンフレットも、読み物として非常に興味深いものでした。
特に、参考文献に入っているロジェ・カイヨワによる著作は要チェックだと
思われ、私もこれから読みます。ご興味のある方はぜひ。
(編集・発行:株式会社ハピネットファントム・スタジオ 22年1月、1,000円)
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