今春、本作品の主演をつとめたレスリー・
チャンの命日、4月1日に、「公開30年、
チャン没後20年」というコピーとともに、
4K映像での日本公開が発表されました。
見逃した、とガックリしていましたが、アンコール上映を
なんとか捕まえることができての鑑賞。やはり、秀逸。
艶やかさも繊細さも、まったく色褪せずにいる作品です。
そして、時代の流れや政治に翻弄され、価値観も生活様式も
考え方や個々の尊厳までも、変化の波にさらされて
闘うことも受け入れることも、生きる以上に酷な状況の中で
震える人たちの心を留めています。
京劇の養成施設で行われていた、ほとんど虐待に近い訓練は
その他の肉体を使用する芸術のためにも、多くの国で当然のように
行われてきた、と見知っている私としては、なお‘痛い’そして
‘忘れ難い’表現で切り取られていました。
本作の主軸は、その中で生き抜き、成功した2人ですが、
ふるい落とされ、いや、命さえも落とした無名の訓練生たちの事も
想わずにはいられません。
カメラワークも素晴らしく、なおさら心に刺さります。
戦禍や圧政、個々人の性の問題等で苦しみ、命を自ら断つ人も
現在でも絶えません。永遠のテーマを刻み込んだ作品でもあります。
一度ご覧になった方にこそ、この機会にぜひもう一度チェックして
いただきたいと、個人的には強く思います。
※ 『さらば、わが愛/覇王別姫 4K』
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