1976年生まれの白井剛(しらい・つよし)は、
長野県出身で千葉大学工学部に学びました。
ダンスカンパニー「伊藤キム+輝く未来」に初出演後、
自身のグループを結成。
構成・演出・振付・映像・出演をこなし、コンテンポラリーダンスの世界で
八面六臂の活躍ぶりです。
今年7月30日、トヨタが行っているコレオグラフィーアワード(第五回目)において、
「時代を担う振付家賞」(将来を担う才能ある振付家を発掘する賞)を
かっさらいましたが、既にその前から、受賞多数、
海外でも公演を行って高い評価を受けています。
8月31日(木)、津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷)。
白井は、アルディッティ弦楽四重奏団と競演しました。
曲目は、ジョン・ケージの『アパートメントハウス1776』で、
カルテットを率いるアルデッティ(彼は生前のケージを知っています)本人が
編曲したものの日本初演となりました。
20世紀初期の作品や現代作品を演奏することで知られるこのカルテットには、
いつもウィットと抜群のチームワーク、説得力があります。
最初は、ステージ下手に、こじんまり座って、
上手(かみて)から現れた白井にちょっかいを出されても
すまして演奏していたか・・・に見えたカルテットですが、
後半は舞台中心に椅子をゆったりと並べ直し、
白井の弄んでいた銀色の風船を
それぞれ自分たちもくっつけて出てきました。
そして、5名全員が上着を脱いでの演奏となりました。
銀色の風船は、ときにケージの魂にも見え、
いやいや、もっと大きな存在が
パフォーマーたちや観客や地球上の人たちを
見守っているかのようにも見えながら、
終始ポッカリフワフワと浮かんでいました。
白井という人の才能に関しては、様々な分析や評価があり、
それは、コンテンポラリーダンスというジャンルの性質上、
常に変化し続けているのかもしれませんが、
今夏のトヨタの総評では、「自己を見つめて作品を創りあげる力を持つ」と
されています。
私は、個人的には、彼の構成・演出・振付の力量に
より興味を持っているのです。
彼が、表現媒体としての自分以外のダンサー、パフォーマー
(身体の成長が止まる前から肉体訓練をしてきた者たち)と出会い、
今までとは全く異なる作品を創ってくれる機会を、
静かに待っているような気がしています。
※白井剛プロフィールはこちら↓↓↓から
http://baneto.topolog.jp/cws/html/e799bde4ba95e5899b.html