叔母の一人が、若い頃、船に乗ってアメリカへ留学しました。
帰国してからずっと、大型のガスオーブンが彼女の身近にあり、
私は物心ついた頃から、いつもそこから魔法のように生まれる料理を
当たり前のように食べて育ちました。
その叔母は、齢を重ねた今でも健康に恵まれ、
しょっちゅうお菓子を焼いては届けてくれます。
このレモンパイは、クラストの上に、レモンの酸味がきいたゼリー部分
(あ、でも、ゼラチンではなく、コーンスターチを使用)、
そして、卵白の軽いトップでできています。
オーブンの温度がばっちり決まった時には、
出来上がりの荒熱をとった頃から、
カラメルの斑点が、ぽちぽちっと現れてきます。
幼い頃は、ここが好きで、斑点の大きなところばかりを、
選って食べていましたっけ。(贅沢でわがままな子ですね!)
べったりと甘いお菓子が苦手な家族も、
これだけは「好物」なのだそうです。
誰が真似て作ってみても、
叔母と同じようには出来上がりません。
「気温が上昇すると、うまくできないのよ」と、叔母。
個人的には、台所をがんがん冷房してでも、
春夏にも作り続けて欲しい気もしますが、
「寒い季節だけのお楽しみ」と、、皆で覚悟を決めて楽しむのも、
うれしい過ごし方だと納得もしている私です。