一つ「素晴らしい」「素敵だ」とみんなが思うものが出ると
類似したものが、わらわらと湧くように出る、というのが日本社会の常。
本も雑誌も店も食べ物もファッションも。(いーや、生き方そのものも。)
本当は「え?何これ??見たことない」というものにも出会いたいのに。
過ごしやすい季節になってきたので
情報収集と趣味とを兼ねて、いくつか新しいギャラリーや
作家物の展示会を開催中のお店をはしごしています。
古い家屋やマンションの一室に手を入れて、
東欧・北欧の古いものや、シンプルな陶磁器、ガラス器、漆器、
布や革製品などを、センス良く組み合わせながら並べる。
こういうところが、ぐんと増えました。
たいてい、若い人が店番していて、
その人自身がオーナーであることも珍しくありません。
彼らに共通しているのは・・・
・綿や麻のシンプルなシャツやセーターを着ている
・身だしなみには非常に気をつかっているが、
総じて色素の薄い、透明感を打ち出す格好が好みである
・野の花、薫り高い珈琲、かすかに流れるジャズやクラシック音楽を好む
だいたい、こんなところです。 (いや、ホントにそうですって。)
そして・・・
友人・知人、お得意さま以外のお客さまには愛想が無いところも、
何故か共通しています。(苦笑い)
「骨董を扱う店をやるというのは、世間さまに美意識を問う仕事だ」と
ある骨董商が言ったそうですが、
それは美しいと自らが思うものを並べて「ハイ終わり」
ということとは違うはず。
多くの店に、接客の心得が欠落しているのを感じます。
好きなものを並べて、やりたかったことが完結してしまったのでしょうか。
それが何故なのか、理由はよくわかりません。
客そのものが、接客を必要としない、他人との接触を好まない、
そんな生活に慣れてしまっていることも、影響しているのでしょうか。
ある店のオーナーは「最近の客は、「これは何か、何に使うのか」と
尋ねることがなくなった。気にいれば買う。ただそれだけです」と。
イチゲンさんの私にも「また来たい」「見せてもらいたい」と思わせる何か。
それを持っている真のプロの仕切る場所へこそ、またお邪魔したくなります。