海外から来ているバレエの公演を久しぶりに。
たまたま、某企業がサポートしているとかで
おそらくお得意様とその家族なのでしょう、
あまり鑑賞経験がないお客さまも大勢おられて
「どこでどう拍手すれば良いんだ?」というとまどいの空気が場内に充満し、
なんとも妙な雰囲気だったのですが、次第にそれがほぐれていきました。
誰の目から観ても、カッコ良い人はカッコ良く、上手な人は上手。
生のオーケストラとの組み合わせに「一晩で二度おいしい、みたいな
夜だね!」と話しているお客さまもおられました。
前半、あまりにも拍手が少なかったりする場面もあったので、
他人事ながら「このままずっと最後まで進んでいったら、いったいどう
なるんだろう・・・」と、心配になったほどです。
演者たちも、しばらくするとエンジンがかかってきたように見えました。
そして、頭の中をよぎったのは、「もしかすると、私が感じている以上に
生の舞台やアートからどんどん離れていく人が増えていて、
いつもそのような経験ができる一部の人たちと、急速に両極化してきている
のだろうか」ということと、「ゲームや映像の世界に浸る時間が長いと、
確かに、人がリアルに目の前で何かを見せる際に生まれるエネルギーの
放射を浴びることが無いし、そのエネルギーを自分が受けて相手へ返し、
それらが照らし合い、絡まり、さらに増幅し、何か大きなものがその場
(だけ)に生まれる、という経験が無い人も多いのだ」ということでした。
一方で、関係者だらけの公演に出かけると、「一部の選ばれた人たちの
愉しみ」の中にすんなりと入りづらい自分を感じて、舞台上で起こっている
素敵なこと、努力に努力を重ねて見せてもらっている至芸そのものに
集中できないことも増えてしまった気がします。