俳優・岡本健一さん。舞台で何度か拝見していますが、
これまで特別に好きとか嫌いとかいう対象ではありませんでした。
枯れた声。どこか影のある役が多い方のように思います。
アイドルから出発したことで、なおさらその影が浮かび上がる
のかもしれませんし、意識的に影を強調してきたのかな、と
思う時もあります。
たまたま雑誌のインタビュー記事の中に気になったコメントが。
「30年近く芝居をやっても、蓄積されたものなんて何も
ないんですよ。 経験を積んで、芝居の引き出しが多くなるかと
思いきや、一つの作品が終わるたびにその経験は解体されて、
次の台本が来るときは、またゼロからの始まり。」
(「週刊朝日」2月2日号)
仕事にもいろいろな種類がありますが、蓄積が毎回ゼロになるものって
いったいどれほどあるのかなあ、と考えてしまいます。
魅力的でもあり、怖ろしくもあるような。
また、同じ仕事でも、本人が「蓄積されるものがある」と思っている
例と「毎回ゼロに戻る。なかなか進歩しない」と思っている例とが
あるのかもしれないなあ、なんて。 私はどちらなのでしょうか。