なかなかゆっくり会えないけれど、
電子メールやコンピューターもやっていないけれど、
特別の事件やお知らせもないけれど、
忘れた頃に、長い丁寧な手紙をよこしてくれる友人。
老いた家族の世話をしながら、
庭にたくさんの花やハーブを育て、
映画のチェックを欠かさず、
毎日の料理にも手間ひまをかけている人です。
「重たい、素晴らしい鍋を見つけました。
ずっと長い間、おこづかいで買おうか、買うまいか、
悩んでいたんですけど、ついに決心して購入。
和風の煮物でもラタトイユでも、シチュウでも、
なんでもおいしくできて、大正解だったわ!」などと。
当たり前の普通の暮らしの中で、
たくさんの喜びを見つけられる人なのですね。
知る人ぞ知る、漫画家でもあるのですが、
彼女が声高に自分の作品やその反響について語るのを
耳にすることがありません。
いつも、静かに着実に仕事を重ねています。
いただく手紙には、季節や年中行事や私の興味に合わせた
凝ったイラストや、可愛らしいシールが、必ず添えられています。
もちろん、切手も吟味して貼ってくれていることが、
私にもちゃあんとわかって、ますますうれしくなります。
何度も何度も読み返す手紙。
最近では、このような宝物を受け取ることが、
めっきり少なくなりました。
自分から、なかなかそれだけのものを出していないから、
というのが、理由の一つだと、わかってはいるのですが。